「ドイツワイン」と聞いて皆さんはどのような味わいを想像されますか?
「甘口」をイメージされたり、「さわやかな酸」をイメージされたりと、特徴のあるドイツワインでも人によって大きくイメージが異なります。
そういった意味でも多様性と独自のクオリティを保つ品質基準を持つドイツワイン。
世界的に有名なワイン生産国のひとつドイツ、そのワインの特徴や代表的なスタイルを今回、ご紹介していきます。
ドイツワインの「入門編」として、ご参考になればと思います。
ドイツワインはどんなところで作られている?
ドイツは北半球の「ワインベルト」と呼ばれる北緯30~50度のその北限、北緯50度付近に位置する、冷涼な気候を持つ産地です。
夏でも日陰では肌寒く感じるような気候で、ほとんどの家にはクーラーが設置されないほど。
この冷涼な気候が、ドイツワインには非常に大きな影響を与えています。
主に南半球などの日照時間の多いエリアにおいてはブドウが熟して色付きが増し果実味が充実するのに対して、この冷涼な気候で生まれるワインの特徴は、なんといっても酸味。
すっきりと、それでいて引き締まった酸味は、まさにドイツワインの特徴です。
ドイツワインの代表的な品種:リースリング
ドイツワインの代表としてまず真っ先に名前があがるのは、リースリングです。
「高貴なブドウ品種」として扱われるこの白ブドウの品種は、しっかりとした酸味をもち、花の香りや、はちみつ、青リンゴなどアロマティックなワインになります。
甘口から辛口まで、造り方によって幅広いワインを生み出してくれるのも特徴で、昔からこの晩熟型のブドウをじっくり熟して、高い酸度とのバランスを生かした甘口に仕上げていました。
近年では辛口にシフトしており、生産量も辛口が多いのが実情ですが、高い酸度では甘みを感じにくく残糖度が高いものも辛口として許容されており、アルコール度数が低いものは、辛口でもやや甘みを感じることがあります。
糖を分解してアルコール発酵するワインの特徴を考えると、辛口がお好きな方は、よりアルコール度数が高めのものを選ぶと好みに近いかもしれません。
ドイツワインの代表的な品種:シュペートブルグンダー
ドイツワインと言えば白のイメージが先行していますが、近年急激に赤ワインの生産量が伸びています。その代表格がシュペートブルグンダー。
ドイツ語で「遅いブルゴーニュ」の意味を持つこの品種は、まさにワインの一大生産地ブルゴーニュに代表される品種「ピノ・ノワール」のドイツ名です。
冷涼なエリアならではの豊かな酸味、ミネラル感は本場ブルゴーニュにも引けを取りません。
比較的ブルゴーニュと緯度が近い南部の「バーデン」や「ファルツ」というエリアで盛んに栽培されており、ブルゴーニュに比べると価格も手ごろで手に取りやすく、ピノ・ノワールの入門編としても楽しめます。
3.知るともっと楽しくなるドイツワインの規定とは?
このドイツワインの品質にある一定の統一性を生み出してきたのは、独自のワイン規定でした。
特に、ブドウの糖度に基づく「カビネット」から「トロッケンベーレンアウスレーゼ」までの6段階のランク分けにより、厳しいクオリティの管理をされていました。
この寒いエリアでは、どうしてもブドウの糖度が上がりにくく、その環境の中で保たれる「糖度=品質」という観点から作られた規定でした。
冷涼な中で糖度を上げるために収穫を遅くし、熟度を上げ、干しブドウのような状態から醸造するため、量や希少性からも値段や品質も高まりがちではあるのですが、この品質基準はあくまでドイツ独自の基準。
味わいの期待値と異なることもあるため、2021年にワインの法律が改訂され、世界の多くの国々と同じように、地理的な呼称管理の徹底に厳密性をより高めました。
ドイツワインの規定は、新しい変更が入ったばかりで、また以前からの糖度の規定も並行しているため、一目で見極めるのはなかなか難しい状況です。
知識で覚えるには限界もありますので、まずは自分自身のお気に入りの一本を見つけ、そのブドウ品種、エリアから徐々に探索をしていくのが楽しむコツだと思います。
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