お酒の話題で突然「GI」と言われてもピンとこない方がほとんどだと思います。
「GI」とはGeographical Indicationの略で、
「地理的表示」つまり有名な土地で作られたことを保証するための制度です。
もっと分かりやすく言うと、
「国産」と商品に書いてあって買ったものが、実は外国産だったとわかると、がっかりしてしまいますよね。
これは「国産」と書いてあることで、商品に対する信頼性や安全性、または味わいの良さなどを消費者に伝えることができるからです。
同じように、例えば「長野」と産地が書いてあるということは、そこがワインで有名な産地であり、その品質を消費者に伝えているということです。
このGI制度に基づき「長野」などと書いてあるのは、実はちゃんと国税庁長官の指定を受けたうえで、産地内のブドウの使用率や醸造や貯蔵の場所、醸造の方法まで、しっかりとしたルールに基づいて作られている証明。
現在、日本においては山梨、北海道、山形、長野、大阪のわずか5か所しかワインボトルに産地を記すことは許されていません。
今回は、代表的なGIのひとつ「長野ワイン」についてご紹介していきます。
「長野」の地理的特徴
長野県が位置する本州中部は、日本アルプスと呼ばれる3,000級の山々に囲まれ、気候は冷涼です。
海から遠く離れているため、海風の影響も少なく放射冷却が起きやすいため、昼夜の温度差が大きくなります。
また、山々に囲まれているため台風や低気圧などの影響も受けにくいため、非常に雨が少ない地域です。
それに伴って特に長野の中部や南部は日照時間も非常に長く日本の中でも非常に太陽に恵まれたエリアといえます。
この長野の気候は、寒暖差のある気温や降水量、日照時間とまさにブドウ栽培にとってはすべての条件がそろったエリアです。
長野では、そんなブドウ栽培に適した土地のポテンシャルを最大限生かすべく、県を挙げて「信州ワインバレー構想」を立ち上げており、県内の主要な盆地4エリアを中心に積極的にワイナリーの参入を促してきました。
その結果、22年にはワイナリーがなんと70か所と、山梨の92か所に次ぐ、2番目にワイナリーの多い県となっています。
「長野ワイン」の特徴
近年の日本ワインのなかで、GI「長野」は、品質で世界と戦う産地、と言うことができるのではないでしょうか。
山梨県が「甲州」など、日本の固有種を中心に生産しているのに対して、長野県は世界各国で栽培されるヨーロッパ系のブドウ品種を多く栽培しています。
メルロー、ピノ・ノワール、シャルドネなど、誰もが口にしたことがあるような品種で、なかなか国内での栽培が難しいヨーロッパ系のブドウ品種を、「長野」の産地としての特徴をしっかり反映させた素晴らしいワインを多数輩出しています。
フランスのボルドーやブルゴーニュなど有名産地の気候と各地の気候をしっかり分析して
品種を合わせ、ブドウ栽培を進めたことで、それぞれの産地とも引けを取らない味わいのワインを作り出します。
その他のブドウ品種としては、渋みの軽くフルーティーな「コンコード」。
さわやかな甘い香りが特徴の白ワイン品種「ナイアガラ」、さらには独自の土着品種も栽培しているので、長野ワインは奥行き深い世界が待っています。
まとめ
長野ワインはまさに日本を代表するワイン産地の一つ。
サントリーやメルシャンなどの大手酒造メーカーから、個性をしっかりもったブティックワイナリーまで、多くのワイナリーが高い品質のワインを日々生み出しています。
冷涼で昼夜の寒暖差で引き出されたGI「長野」の魅力を自分の舌で、鼻でしっかり感じることができたあなたは、ワイン上級者の階段を上っているといっても過言ではないでしょう。
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