スイス発祥のお酒(蒸留酒)である【アブサン】。
ハーブ・薬草系のお酒の一つなのですが、その歴史の中には有名な芸術家やアーティストを魅了したお酒という事でも有名なお酒です。
実は、アブサンの中に、幻覚作用や中毒性がることから、発売が禁止された時期もあり、知らない方にとっては謎が多いお酒でもあります。
現在ではある一定条件のもと、製造、販売が再開しており、その独特な香りや味わいに、コアなファンも多くいます。
今回は、そんな魅惑のお酒【アブサン】についてご紹介します。
また、今回の記事ではもっとアブサンを知りたい方のために、アブサンを楽しく動画で紹介しているアブサン大好き事、「アブちゃん」の動画も合わせてご紹介します。
ご興味がある方はそちらも是非ご覧ください。
アブちゃんのチャンネルはこちらから
アブサンとは
冒頭でも少し触れましたが、アブサンはスイス発祥の薬草系のお酒です。
スイスの他に、フランス、スペイン、チェコなどを中心にヨーロッパ各国で造られ、楽しまれてきたお酒です。
そんなアブサンは、原料にワームウッド(ニガヨモギ)をはじめ、アニスやフェンネル、ウイキョウなどのハーブ、スパイスを主成分に造られます。
独特の香りとスーっと鼻に抜けるような爽やかさ、ハーブ特有の苦みと甘さ、味わいが特徴。
産地や、原料によっても味わいや、香りも違いますが、更に製造工程の違いで、大きく3つの種類があります。
ハーブやスパイスと共に蒸留することで造られる、無色透明なものを「ブランシェ」。
そこへ更にハーブなどを浸み込ませたものを、緑色の「ヴェール」という名前で分けられています。
更に、チェコでは独自の製法として、蒸留せずにハーブを漬け込み、加水をして造られるタイプがあります。
その種類や産地、原料の違いなどで約400種類以上のアブサンが存在し、アルコール度数も45~80度と高めです。
アニス系のお酒についてこちらもおすすめです。
アブサンの飲み方
カクテルの材料としても使われるアブサン。
その中で、アブサンの一般的な飲み方・楽しみ方が、「水割り」(ドリップ)という方法です。
作り方も独特で、「アブサン・ファウンテン」と呼ばれる専用の冷水ポットから少量づつ垂らしていきます。
冷水を垂らす際、アブサンを注いだグラスに穴の開いた専用のスプーンを置きその上に角砂糖を置きます。
その上に冷水を垂らし、砂糖を溶かしながらゆっくり水割りにしていきます。
アルコール度数も下がり、角砂糖のコクと独特なハーブの香りと味わいが楽しめます。
そして最大の特徴は、後でもご紹介しますが、水を加えることで「白濁」します。
ゆっくりとその変化をみるのも楽しみの一つといえます。
※アブサンは火をつける?
よくアブサンの楽しみ方として、角砂糖にアブサンを浸み込ませ、火をつけ、砂糖とと共に溶かして飲むスタイルを見かけたり聞いたりします。
私も含め、多くのファンやバーテンダーはあまり推奨していない楽しみ方です。
アブサンの特徴であるアルコールや、ハーブ・スパイスの香りが飛んでしまうという事。
また、角砂糖を火にかけることで、焦がした甘さが出てしまい、個性を損ねる可能性もあります。
そして何より、アブサンの生産者を思えば、こういった楽しみ方は、カクテル以外にはおすすめできないと思います。
絶対的にダメという事ではないですが、純粋にアブサンを楽しみたい方は、上記で紹介した飲み方をおすすめします。
▼アブサンの楽しみ方
白濁する理由
水を加えることで「白濁」するアブサン
実は、材料に使われているアニス、フェンネルなどの精油成分が水に溶けず、細かい粒子になります。
そこに光が反射することで、人間の目には白く「白濁」したようにみえます。
アニスや、フェンネルを使ったお酒は、アブサン以外にもあり、同じように水を加えるとこの「白濁」する現象がおきます。
▼アブサンの作り方・白濁する理由を解説
アブサンの歴史
アブサン誕生から現在まで、その歴史の中で様々な事がアブサンによって起こります。
また、芸術家、アーティストが愛飲した事でも有名なアブサン。
ここではその長い歴史を簡単にですが、まとめてご紹介します。
歴史や文化が深い分、語りきれない部分もあるので、更に気になった方は、是非調べてその文化に触れて頂ければと思います。
参考書としてこちらがおすすめです。
誕生から発売禁止~解禁までの経緯
19世紀、アブサンが誕生し流通していた頃、実はワインやビールよりも安価に購入できたため、アブサンを楽しむ人が増えることでも大きな問題が起きます。
まず、この時代、世界中にアルコール中毒者が多くいたという事。
アルコール中毒者が引き起こす事件を、すべて「アブサン」のせいにされてしまいます。
そして製造、販売が禁止となった大きな理由として、あがるのがアブサンに必ず使われる「ニガヨモギ」。
そのニガヨモギに含まれる有毒成分『ツヨン』によって、幻覚症状や昏睡などの悪影響を及ぼすとしてフランス、スイスなどで約100年の間、禁止となります。
※実際、この事実は禁止になってから解明されたとされています。
当時、科学や医学では正確な分析として解明できずにいました。
また、アブサンに使用されるアニスやフェンネル、レモンバームやヒソップも体に悪いといわれ、科学者たちには総称して「アブサン」が体に悪いといわれていました。
▼アブサン禁止の歴史
よく『禁断のお酒』や『悪魔のお酒』、『緑の妖精』などと言われているのは、背景にこういった歴史があることもうかがえます。
そんな禁断とまで言われたお酒「アブサン」。
その後、1981年に国際機関で一定の濃度以下であれば安全である、という科学的根拠が証明され、禁止されていた各国で製造が再開します。
2005年にスイス、2011年にフランスと再開し、先ほど説明したようなたくさんの種類のアブサンが流通するようになり、世界で楽しまれるようになります。
▼アブサン禁止から解禁になって・・・
芸術家が愛飲していたアブサン
芸術家や著名人が愛飲していたとしても有名なアブサン。
19世紀ごろ、その魅力に身を滅ぼしてしまった芸術家もいたといわれ、題材となった作品が出るなど、その影響力の大きいアブサン。
有名なところで、ピカソやゴッホ、アンリなど、また詩人や作曲家など様々いたとされています。
諸説ありますが、アブサンは芸術家たちに、インスピレーションを与えたといわれています。
また、アブサンは様々なところで登場するほど影響力を与えます。
日本をはじめ各国の映画、小説や音楽、漫画など、ジャンル問わずアブサンは影響を与え、登場している作品が多く存在します。
おすすめのアブサン
先ほどもご紹介した通り、400種類以上あるアブサン。
その中でおすすめとして、また入門編として、アブサンをいくつかご紹介していきます。
個人的な意見も含まれるので、この記事をご参考に、興味がある方はいろいろ試して頂ければと思います。
ペルノ
ペルノ社で販売されている、日本では有名なアブサン。
同名で「ペルノ」というアニス系リキュールが存在します。
「パスティス」というニガヨモギを使わずに、アブサンを再現したとされているリキュールです。
アブサン特有の爽やかさに、特徴的なハーブの味わいが楽しめる一本です。
アルテミシア・アブサン「グランディスティーヌ」
スイスで、アブサン解禁後、最初に認可されたアブサン。
18世紀末にアブサンを初めてつくり始めたバルドトラヴェール地方、アルテミジア蒸留所のアブサンです。
2007年、スイス連邦スピリッツ・コンクール”でゴールド・メダルを獲得。
また毎年フランスで開催される、アブサンティアード(アブサン世界品評会)では4年連続で作品が優勝の栄誉に輝いています。
ニガヨモギなど10種類以上のヴァル・ド・トラヴェール産の植物による香りと、長い余韻、かすかな苦味が特徴のバランスよいまろやかなアブサン。
アルコール度数も他のアブサンに比べ比較的に低めなので初心者にもおすすめの一本です。
マンサン
カリスマ的存在のロックバンド、ボーカル「マリリン・マンソン」がプロデュースした事でも有名なアブサン。
人工甘味料、人工着色料を使用していない天然ハーブ使用するこだわりは監修するほどアブサンを愛飲していることがわかります。
スイス産のニガヨモギ、グリーンアニス、フローレンスフェンネルシードを主に使用。
自然な緑にうすい青色の色合、丸みのある芳香と爽やかさが特徴。
アロマ感じる複雑な味わいは余韻となって続きます。
まとめ
今回は、禁断のお酒と呼ばれた「アブサン」についてご紹介しました。
その独特な特徴と楽しみ方、白濁する変化も楽しいという事をご紹介しました。
また歴史の中に禁止された理由や、芸術家を含め様々なところに影響を与える存在という事も解説しました。
今回は、アブサンを楽しく紹介している「アブちゃん」のご協力のもと、動画で楽しく知るために項目ごと動画も紹介しています。
ご参考に、アブサンの魅力に触れてみてはいかがでしょうか?
ご興味がある方は動画と共に、楽しんで頂ければと思います。
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・【スーズ】とは「香草・薬草系リキュール・スーズを使ったカクテル」
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